
活動地域〜タイ・ミャンマー国境地帯ってどこ?〜

私たちが活動している都市「メソト(Mae Sot)」はタイの首都バンコクからバスで約8時間、ミャンマーとの国境に接しています。
メソトはタイの管轄内ではありますが、その人口はほとんど隣国ミャンマーからの移民で構成されています。その移民の大半は、ミャンマーでの政情不安や少数民族の対立で避難してきた方で構成されていて、文化もミャンマー文化が浸透しています。
解決すべき課題〜「ミャンマー避難民」の教育の現状とは?〜
日本から遠く離れたミャンマー国境地帯。そこで生活する避難民の子どもたちはどのような教育を受け、どのような生活をしているのか、日本にいる私たちからだと想像が難しいかもしれません。私たちは彼らの現状を日本で広め、「難民教育支援」の重要性を発信していくとともに、渡航を通して現場に赴いて交流活動をしていきます。
ミャンマー避難民の生徒は、
①法的ステータスの不安定性:パスポートやビザなどのIDがなく、法的ステータスが不安定な避難民にとっては、政情不安の母国ミャンマーに帰国することはおろか、メソトを出て教育を受ける機会が限られています。そのため、情報を得づらい、学習モチベーションを担保しづらいなどといった生徒への精神的ダメージもあります。
②経済的限界:避難民学校の多くはNGOなどから出資を受けていますが、先生の給与や教材の確保、施設の拡充に充てる費用が限られています。
③認定されない教育:避難民学校の教育プログラムはタイをはじめ海外の大学に進学するために特別なプログラムを設けていますが、多くは政府からの認定を受けていません。
活動概要
私たちの活動は、
- メーソートへの現地渡航
- 日本での社会発信活動
に分けられます。
1.現地渡航
目的
メーソートの子どもたちと1対1で深く関わり、かけがえのない思い出を作る
タイ・ミャンマー国境チーム(Aチーム)として教育支援をしていく中で直面したことは、制度上の課題。学生の範疇では解決できない、根本的な課題です。
私たちにできることは何があるのか模索していると、Aチームが過去に渡航に行ったときに会った生徒からこのようなことを言われました。
年に数回、MISが来る日が一番楽しみだった
私たちは教育を彼女に与えたつもりになっていましたが、彼女は当時の生活の楽しみ・現在の思い出をMISから受け取っていました。
教育は「人を育てる」ために行うことです。知識を与えることは教育ですが、教育は知識を与えることだけなのでしょうか。
UNESCOが提唱する『学びの4本柱』には、以下の項目があります。
Learning to know(知ることを学ぶ)
Learning to do(為すことを学ぶ)
Learning to live together(共に生きることを学ぶ)
Learning to be(人間として生きることを学ぶ)
教育支援というと、「知ることを学ぶ」すなわち網羅的なカリキュラムに沿った学習を推進することを思い浮かべます。私たちも、その先にある大学進学という人生を切り拓く可能性を軽視しているわけではありません。
ただ、現実的に年に2回の渡航、そして私たちが学生であることを考えると、私たちにできることはそのような教育支援ではないのかもしれない、と考えるようになりました。
日本の学生にすぎない、しかし日本の学生だからこそ私たちができることは「何かを教えること」だけではなく、「共に生きることを学ぶ」という経験そのものを、子どもたちと分かち合うことではないかと思うのです。
日本語を話すかビルマ語(など)を話すか。平和しか知らないか平和以外も知っているか。民主主義が当然か当然ではないか。様々な違いを持つ私たちが一緒に笑い合い、時には身振り手振りで助け合いながら過ごす時間には、教科書には載っていない「学び」が詰まっています。
それは、他者と関わる中で自分を見つめ直したり、自分と異なる価値観に出会いながらも共感しようとする力、つまり「共に生きる」力の育成です。
現地の子どもたちにとっても、私たちの存在が「教える人」ではなく、「1対1で一緒に過ごす人」であることや、年齢が近いことで、深い関係を築くことができます。
名前を呼んでくれたり、お弁当を食べさせてくれたり、日本語で話してくれたり、ビルマ語を教えてくれたり、別れ際に涙を流してくれたり。ともに過ごす中で、かけがえのない人間関係が生まれているのを感じます。
このような経験を通して私たちは、教育支援とは必ずしも「教えること」に限られず、「共に過ごし、心を通わせること」そのものが大きな意味を持つのだと気づかされました。
それは子どもたちにとっても、私たちにとっても、お互いの存在を認め合い、心の距離を縮めていくプロセスであり、まさに「共に生きることを学ぶ」時間だったと言えます。
長くなりましたが、以上のような思いから、2025年度の現地渡航では「共に生きることを学ぶ」ことを目指し、かけがえのない思い出をともに作ることを主軸に置きます。
私たちが渡航で学んだこと・感じたことなどは渡航ののち9月に入ってからBlogページに掲載しますので、ぜひそちらもご覧ください。
2.社会発信活動
ミャンマー避難民や難民支援について日本社会、とりわけ若者の間で関心をもつ人が増えるように、芸術などを通じて社会発信活動をしています。
日本は先進国と比較すると難民支援の制度整備が遅れ、国民の関心も少ない課題だといえるでしょう。ただし、少子化やグローバリゼーションが進む現在、目をより国外に向けて多様な人々を受け入れ、共生し必要な支援をしていく活動が日本にも求められてきています。
1つの団体であるMISとしてではなく、「日本社会」として難民支援に向き合えるように社会発信を行なっております。
↓昨年度は高校生を対象にしたワークショップを開催しました↓

過去の渡航報告はこちら⇩

構成
2025年度は31名(12期:4名、13期:9名、14期:18名)で活動していきます!