2025年度春渡航②(ベトナムチーム)

1.渡航の目的

 ベトナムチームの2026年春渡航の目的は大きく3つある。1つ目は、プロジェクト実施のための公式な枠組み作りだ。先述の通り、私たちは環境問題をテーマに据えてから月日が浅く、具体的なプロジェクトは今後の渡航で作り上げていく。そこで、今後ベトナムの学生と大きなプロジェクトを一緒に行うためには、現地の彼らとの枠組みが必要だと考えた。さらに、企業や他団体との協力を得るためには公式な枠組みであればなお良いと考えた。渡航中は、その公式な枠組みづくりの第一歩として、ジャパン・ベトナム・フェスティバル(JVF)という日越交流イベントにおいて、ベトナムの学生と共同発表・宣言を行った。私たちはこのイベントの関連イベントとして、長期的に日越両国の廃棄物問題の解決に取り組むことをベトナムの学生と共同発表を行い、日越双方の立場から継続的に問題解決に取り組みを発展させていくための基盤を形成できた。

 2つ目は、ベトナムにおける環境問題の発生要因とその解決への取り組みについて現場で理解を深めることである。ブンタウでの海岸清掃や地元のエコ団体Go Live Loveとの対話、鯨寺の訪問を通して、現場の実態に触れつつ現地の生の声を聞き、その背景にある社会的・文化的・制度的な発生要因を多角的に学んだ。特に、鯨寺の訪問では、地域に根ざした文化や価値観に触れることで、環境問題を生活や信仰、地域社会と密接に関わるものとして捉え直す視点を得ることができた。問題解決への取り組みについては、フ―ミー3特別工業団地の視察を通して、経済発展するベトナムで、どう環境問題解決も達成する方法について考えさせられた。

 3つ目は、現地の方と一緒に環境問題を考えることだ。これはMIS全体でも共有されている、現地主義という理念を体現している。海岸清掃や各ワークショップを通して、環境問題を一方的に伝えるのではなく、参加者それぞれが自身の生活や消費行動と結びつけて問題を捉え、「自分ごと」として考える契機を相互に生み出すことを重視した。また、渡航全体を通して、現地の学生や住民との対話や活動から、問題意識や価値観を共有しながら、課題に対する向き合い方や具体的な取り組みをともに模索した。

2.渡航概要

渡航日程:2025年2月28日~3月9日(10日間)

参加人数:8名(12期1名、13期1名、14期6名)

2/28(土)3/1(日)3/2(月)3/3(火)3/4(水)3/5(木)3/6(金)3/7(土)3/8(日)3/9(月)


ホーチミン、ブンタウへ移動
・海岸清掃
・アートWS
・Cacao WS
・クジラ寺
・Go Live Love

・Econet  WS
・日本企業、Phy My訪問
・ブンタウ出発
・ドリンクホルダーWS
・学生会議リハ
・エコバッグWS、授業見学(ラクホン大学)
・観光(ベンタイン市場)
・JVFリハ
・Go Go Entertainment 視察
・ベトナム人学生とごはん
JVF学生共同発表JVFブース出店JVFブース出店解散

3.活動内容

 今回の春渡航での活動は、4つのプロジェクト「ブンタウでの活動・視察」、「古着ワークショップ(WS)の開催」、「JVF共同発表・宣言」、「JVFブース出展」に大別できる。「ブンタウでの活動・視察」では、大きく7つの活動、視察を行った。

  • ブンタウでの活動・視察
    • 海岸清掃
      • 海洋ごみの問題を実際に見ること、そして興味をもってもらうことを目的に、現地の高校生と海岸清掃を行った。ペアを組んで普段のお互いの消費生活について話し合いながら、プラスチックごみを中心に様々なゴミを拾い、いくら拾っても尽きないゴミの多さや、砂浜に埋まって見えなくなってしまっているだろうゴミの存在について考えさせられた。
      • 清掃活動後は班に分かれ、この後に説明があるeconetのバッグの布部分にペイントした。楽しみながら環境に配慮した製品を知ってもらうことができた。
  • Vietnam Chocoland-Organic Chocolate Atelier(WS)
    • カカオの有機栽培からチョコレートの製造まで行っているチョコレートメーカー。WSを一般向けに行っており、環境に配慮した栽培方法の説明を聞いたほか、実際にチョコレート作り体験をした。
  • 鯨寺(視察)
    • 地元の文化からの視点を得るために訪問した。古くから漁業が盛んなブンタウならではの鯨の伝説があり、鯨の骨が奉納されている。地域・文化に根付いた考え方があり、それがどのように人々の消費生活と結びつくのか、考えるきっかけとなった。
  • Go Live Love(議論)
    • ブンタウの地域団体。定期的に環境問題をテーマに議論の場を設けている。地域の子どもたちのコミュニティスペースとしての機能も目指している。日本の環境問題への取り組みを紹介し、それを踏まえた現地住民の方々の疑問点に答えながら、日越両国の取り組みや考え方を共有した。現地住民ならではの視点など、実際に議論しなければ知りえなかった現状を知ることができた。
  • EcoNet(視察)
    • EcoNetは、漁業用の網からバッグやポーチを手作りで作製するプロジェクトである。EcoNetは、ゴミ収集やジャンクショップの運営も行っている家族が行っており、回収した漁網を利用してリサイクル製品を作っている。近所のロンソン島に住む、生活に苦しむ女性も多くプロジェクトに参加している。前回夏渡航の際にはジャンクショップを訪れたが、昨年秋に現地メディアに取り上げられたことで、その際と比べて、より成長し、従業員も増え、製品のバリエーションにも広がりを見せていた。
    • その取り組みは、環境負荷の軽減だけでなく、女性の働く場の創出にもつながっており、環境問題への取り組みが人々の生活と切り離せないものである事を強く実感した。
  • フーミー3特別工業団地(視察)
    • ベトナム唯一の特別工業団地。安定した電力と水、天然ガスなどの豊富な天然資源、カイメップ・チーバイ国際深港を備えており、工業団地のエコモデルにも選ばれている。工業団地の運営会社から工業団地全体としての取り組みの説明を受け、同企業が管理する排水処理施設を視察した。国の発展を支えながら環境へ配慮した運営をする、努力している様子が垣間見え、貴重な機会をいただいた。
  • Iguacu Vietnam(視察)
    • 丸紅株式会社の完全子会社のインスタントコーヒーメーカー。蒸気を利用して熱を生み出すバイオマスボイラーを導入するなど、環境に配慮した取り組みを行っており、工場の視察を行った。
  • ワークショップ
    • さくら日本語学校(PJ)
      • 日本語での交流も目的としつつ、古着からカップホルダー作製のワークショップを行った。夏渡航の際は古着からマイバッグ製作を行ったが、よりベトナムの人びとの生活に則したワークショップにしたいと考え、カフェ文化に着目した。
      • 成果:マイバッグ作製と同様、楽しみながら環境問題に触れるきっかけとなった。特に、実際に持っていたカップなどを用いて、作ったカップホルダーを使ってくれる生徒さんもいた。また、日本語での交流を通して、貿易大学の学生など、新たな関係も築くことができた。
    • ラクホン大学(PJ)
      • 日本語を専攻する東洋学部の生徒さんとの交流。夏渡航で行った、古着からマイバッグ作りのワークショップを行った。
      • 目的:プラスチックゴミ問題の現状を知ってもらうと同時に、日本のレジ袋削減の取り組みについて伝える。
      • 成果:目的は達成できたが、そもそもなぜこのアクティビティをこの大学で行うのかという動機づけが弱かった。ただ、さくら日本語学校と同様、日本語での交流を行うことができ、新たな関係が生まれるきっかけとなった。
  • JVF共同発表・宣言
    • 概要:
      • ベトナム国内最大規模の日越イベント、ジャパン・ベトナム・フェスティバル(JVF)に参加し、ベトナムの学生と環境問題をテーマにした発表・宣言を行った。日越両政府が関わるJVFでは、毎年約40万人が参加し、日本の文化や日越の民間企業の出展を楽しむことができる。
      • 第11回の本年は、3月7日(土)、8日(日)の2日間、9月23日公園で開催され、私たちベトナムチームも参加させていただいた。まずは、その関連イベントとして3月6日(金)にホテル・マジェスティック・サイゴンにてベトナムの学生(日越工業大学、ホンバイン国際大学、ホーチミン市経済金融大学)12名と共同発表を行った。ここでは、日越の学生で長期的に廃棄物問題に取り組み、特に若者の間で行動変容を起こすことを目指す旨を15分間発表した。その翌朝のJVF開会式では、前日の発表を踏まえ、ベトナムの学生と共に環境問題に今後も取り組んでいくことを宣言した。
      • 本イベントの参加に向け、ベトナムの学生とはオンラインで2回、日越工業大学にて1回準備を主に英語で行った。ベトナム人学生の募集や大学・学生との連絡にはホーチミン市元日本学生クラブ(JUACH)のご協力をいただいた。
    • 成果:
      • これらの発表と宣言を通して、今後共に廃棄物問題に取り組んでいくベトナムの学生との、公式な枠組みを構築することができ、非常に意義深いものとなった。今後はこの学生との枠組みを通して、日越両国において大きなプロジェクトを実施していきたい。
  • JVFブース出展

 2026年3月7日(土)及び8日(日)に開催された、第11回ジャパンベトナムフェスティバル in ホーチミン(JVF)に、日本の大学生の生活を紹介するブースを出店した。日本の大学生というテーマを軸に、授業やサークル、アルバイト、学園祭などについてまとめて紹介し、来場者自身にもコスプレを通して日本の大学生を体験してもらった。JVFには企業や日本食に関する出店が多い中で日本の大学生の生活をベトナムの来場者に伝えることを通じて、身近な日越の文化交流を促進することを目的とした。現地の友達がたくさん手伝いに来てくれて、多くの来場者に日本の大学生について知っていただけた。

4.今後の展望

 私たちは日越両国の廃棄物問題の改善に貢献することを目標に掲げている。廃棄物問題の中でも、特にレジ袋、商品開発/仕組みづくり、廃棄物問題全般のリサーチの3チームに分かれて活動している。
 私たちは特に、ベトナムの学生と共に活動することを重視しており、渡航時に加え、オンラインでも各チームが現地の学生とプロジェクトの実施やディスカッションを行いながら、活動を進める予定である。2027年春渡航にて、各チーム今年度の成果物が出すことを目標にし、2026年夏渡航では、その準備として小規模な実証実験や、様々な施設の視察・取材、現地の人々との交流を行う予定だ。